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新年のご挨拶

安藤会長  新年の年頭にあたり謹んでご挨拶を申しあげます。旧年中は、当協会の事業活動に対し、格別のご理解とご協力を賜り厚く御礼申しあげます。

 さて、景気動向を振り返ってみますと、昨年7~9月期の実質GDPは、企業における投資の弱含みや在庫調整などを背景に、4~6月期から2四半期連続のマイナス成長となりました。しかし、10~12月期は、中国経済の減速を受けて景気回復のペースは緩やかなものとなるものの、在庫調整一巡後には持ち直し、回復軌道に復帰するものと思われます。

 京都に目を向けますと、訪日外国人の増加に伴い個人消費が持ち直しつつあるなど景気回復基調は続いていますが、製造業を中心に中国経済減速の影響がみられるなど、海外経済や金融市場の動向に注視が必要な状態となっております。

 雇用情勢については府内の有効求人倍率は、昨年4月以降1倍を超え、9月には1.24倍と、昭和49年1月以来、41年8ヶ月ぶりの高水準となりました。この大きな雇用情勢の変化に対応するため、女性・高齢者等の多様な人材の活用や、多様な働き方、長時間労働の削減や不本意非正規労働者の正社員化の促進など雇用の質の向上を図らなければなりません。そのためには、一人一人の労働の質の向上を通じ、企業全体の労働生産性の向上に取り組んでいく必要があります。

 政府が進める「ローカル・アベノミクス」の成功には、地方の活性化が大きなカギを握っております。地方で深刻な問題となっている労働人口流出の流れに待ったを掛け、地方に経済活動の場としての雇用を作り出していくことが必要です。雇用の観点からも、企業の本社機能や政府関係機関の移転などにより、東京一極集中を是正し地方への新たな人の流れを作り出すなどの政策推進が必要と考えております。
 また、昨年夏の通常国会において、女性活躍推進法と改正労働者派遣法が可決・成立しました。これらの法律の制定により、女性の活躍が促され、派遣労働者が安定的にキャリアを積むことに繋がる制度が整い、その能力をより発揮してもらえるものと期待しております。新たに労働参加される方には、育児や介護など様々な制約を抱える人もいることが考えられますが、この点にも配慮し、従来の価値観に捉われることなく、より多様な考え方や働き方を受け入れ、働き方改革を進めていくことが重要であると考えております。
 一方で政府の「成長戦略改訂2015」には、「個人の潜在力の徹底的な磨上げ」の中で「長時間労働是正による労働の『質』の向上」が鍵となる施策として掲げられており、当協会でも各社の取り組みも含め、調査・研究をすすめていく必要があるものと考えております。今春の労使交渉では、賃上げに加えて、この労働生産性の向上への取り組みを労使一体でいかに進めるか、大きなテーマの1つとして議論されることを期待しております。当協会でも、「春季労使交渉対策セミナー」を開催するなど、会員の皆様の一助となるよう積極的な情報発信に努めてまいります。また、労使交渉に止まらず、会員の皆様の声を経団連や地方行政・労働行政に対して発信してまいりますので、忌憚ない意見を当協会にお寄せ頂きたいと考えております。

 当協会は、昭和21年3月に全国に先駆けて設立されて以来、事業活動を継続し本年3月に創立70周年を迎えます。「先駆けて70年、人を大切に明日の京都を創ります」のキャッチコピーのもと、企業における『経営と人』に関する幅広い諸課題に取り組み、会員企業の経営基盤の安定を支援するとともに、地域経済の発展に寄与し、全国を牽引する存在として再発信する所存でございます。協会活動への会員の皆様の積極的なご参加をお願い申しあげるとともに、本年も皆様に取りまして、明るい年となりますよう祈念申し上げ、新年のご挨拶とさせていただきます。
三洋化成工業株式会社 代表取締役社長
京都経営者協会 会長 安藤 孝夫